2025年4月11日金曜日

本の読みます。

 

どこが間違いか。


先生:「きのう なにを しましたか。
生徒:「ほんのよみました。」


先生:「ほんをよみました。」
生徒:「ほんのよみました。」


先生は間違えたと思っている。
でも、生徒は間違っていると思わない。
生徒はどこが間違っているのか腑に落ちない。


助詞「を」の代わりに、「の」と言ったのか?
初級を教えたことがある方はアルアルかもしれない。


実は違う。「ん」の発音を間違えているのである。


英語話者に多いが、「ん」を一つの音だけで発音する。
それは英語の「n」(エヌ)の発音だ。


これは舌先を歯茎に当てて発音する、歯茎鼻音になる。
歯茎を舌先に当てたまま、「を」を発音すると、「の」になってしまう。

だから、「hon no よみました。」になってしまう。


「ん」は6種類もある。


日本語母語話者は無意識で話しているが、
分け方にもよるが、「ん」は6種類ある。
「ん」の後にくる、音に影響を受ける。


「ほんを」の「ん」は後ろの音が「を(o)」である。
つまり、母音が来るので鼻母音で発音しなければいけない。


Interactive IPA Chart を使って、IPA(国際音声記号)をタイプしてみた。


1. 両唇鼻音
・ほんも [homˑmo]


2. 歯茎鼻音
・ほんの [honˑno]


3. 歯茎硬口蓋鼻音
 ※硬口蓋鼻音の記号で代用することが多いらしいが、日本語では
   前よりになる。(勉強中なので間違っていたらご指摘ください)
・かんじ[kaɲ̟d͜ʑi]


4. 軟口蓋鼻音
・ほんが [hoŋˑɡa]
・てん [teŋˑ]


5. 口蓋垂鼻音
・ほん [hoɴˑ]


6. 鼻母音
 ・ほんを [hoõ.o]


母語の癖がついているとすぐには直らない。「ん」は1つだけではなく、前後(多くは後続)の音に影響され、舌の位置などの調音方法が違うことを知ってもらうことが肝心だ。


参考文献
斉藤純男『日本語音声学入門【改訂版】』三省堂
Interactive IPA Chart (International Phonetic Association)

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