どこが間違いか。
先生:「きのう なにを しましたか。
生徒:「ほんのよみました。」
先生:「ほんをよみました。」
生徒:「ほんのよみました。」
先生は間違えたと思っている。
でも、生徒は間違っていると思わない。
生徒はどこが間違っているのか腑に落ちない。
助詞「を」の代わりに、「の」と言ったのか?
初級を教えたことがある方はアルアルかもしれない。
実は違う。「ん」の発音を間違えているのである。
英語話者に多いが、「ん」を一つの音だけで発音する。
それは英語の「n」(エヌ)の発音だ。
これは舌先を歯茎に当てて発音する、歯茎鼻音になる。
歯茎を舌先に当てたまま、「を」を発音すると、「の」になってしまう。
だから、「hon no よみました。」になってしまう。
「ん」は6種類もある。
日本語母語話者は無意識で話しているが、
分け方にもよるが、「ん」は6種類ある。
「ん」の後にくる、音に影響を受ける。
「ほんを」の「ん」は後ろの音が「を(o)」である。
つまり、母音が来るので鼻母音で発音しなければいけない。
Interactive IPA Chart を使って、IPA(国際音声記号)をタイプしてみた。
1. 両唇鼻音
・ほんも [homˑmo]
2. 歯茎鼻音
・ほんの [honˑno]
3. 歯茎硬口蓋鼻音
※硬口蓋鼻音の記号で代用することが多いらしいが、日本語では
前よりになる。(勉強中なので間違っていたらご指摘ください)
・かんじ[kaɲ̟d͜ʑi]
4. 軟口蓋鼻音
・ほんが [hoŋˑɡa]
・てん [teŋˑ]
5. 口蓋垂鼻音
・ほん [hoɴˑ]
6. 鼻母音
・ほんを [hoõ.o]
母語の癖がついているとすぐには直らない。「ん」は1つだけではなく、前後(多くは後続)の音に影響され、舌の位置などの調音方法が違うことを知ってもらうことが肝心だ。
参考文献
斉藤純男『日本語音声学入門【改訂版】』三省堂
Interactive IPA Chart (International Phonetic Association)
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