2025年4月11日金曜日

「気になる」言葉

テレビやビジネスなど使われる言葉で「気になる」言葉がいくつかある。あるコミュニティや業界ではよく使われており、ある程度受け入れられていると思われる。


明らかにおかしいというよりは、個人的に何かすっきりせず気になる言葉を3つほど挙げてみる。


・建て付け

「建て付け」という言葉は、建物のでき具合についての言葉だと思っていた。例えば、「ドアの建て付けが悪くて、隙間が空いている。」など。
「法案の建て付けについてご説明します。」や、「プロジェクトの建て付け、どうなってんの?」などの使われ方がなんかすっきりしない。
「国会議事堂は頑丈ですから、建て付けは問題ありません。」、「会議室のドアの建て付けが悪いんです。」とは言わない。 

 

「予算規模は〇兆円で、監督官庁は〇〇で、うんぬんかんぬん」、「幹事は〇〇部で、△△部署からの何人か入ります、うんぬんかんぬん」などのように使うようだ。


 
法案の枠組み、制度の仕組みとか、組織体制、プロジェクトの担当部署と構成員など、その状況に合わせて使い分けると長ったらしいのだろうか。


・展開する

人を動かしたり、物事が進んだりすることに使われるが、ビジネスだと違う意味になる。
「関係者に議事録を展開してください。」などのように使われる。
議事録を正六面体の展開図ように広げることではない。


ビジネスでは、「情報を適切な人たちに漏れなく流してね」という意味らしい。


普通に「関係者に議事録を送ってください」、「資料を関係者と共有してください」と言えば済むような気がする。


・受け止め

「ご批判を真摯に受け止め、改善に努めます。」
その言葉をきちんと聞き入れること、「受け止める」は違和感がない。


「首相、裏金問題での処分についての受け止めをお願いします。」はどうだろうか。政治家へのぶら下がり取材や、報道でよく使われている。
何を受け止めるのだろうか。なぜ名詞化するのだろう?
「ご見解をお聞かせ願いますか。」ではだめなのだろうか。 


言語規範は時とともに変化するものだ。多くの人が誤用の意味で良しとして使い出せば、標準的な使い方に変わる。辞書にもその意味が加わることもある。


元の意味が長く生き残る言葉もあれば、新しい意味が加わったり、元の意味が上書かれてしまう言葉もあるだろう。
あれこれ言っても、多勢に無勢、その流れに逆らうことはできない。ぼやきである。

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