もう世を去られてしまったが、ドナルド・キーンの『二つの母国に生きて』というエッセイがある。
キーン氏がどうやって日本語をどのように身に着けたかなどが書かれていて面白い。氏は第二次大戦中、米国の海軍日本語学校で日本語を学んだそうだ。
その後、英国で若い軍人に日本語を教えたときのことも書かれている。
その際、ラテン語を専攻した学生を募ったそうだ。
「ラテン語がよくできる学生だったら、日本語もよくできるだろうというわけです。」
「当時の教科書を見ると、たとえば ”馬が” ”馬に” ”馬を” といったふうに、まったくラテン語式に書かれていました。」
欧米では教養として古典語であるラテン語を学ぶ。
「馬が」は主格、「馬に」は与格、「馬を」が対格で、日本語の助詞の使い方と対応する。
確かにラテン語を学んでいると、助詞の概念が割とすんなりと受け入れられるように思う。「正の移転」として応用できるわけだ。
英語母語話者はこのような格変化を使わない。
日本語の助詞の使い方にどうしても慣れない学習者もいる。
そもそも抜かしたり、選択を間違えたりする。
ヨーロッパの古典語であるラテン語と日本語に意外と共通点があるのが面白い。
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